令和6年6月定例市議会本会議において、森下さち子議員がこの問題を取り上げ質問されました。(6/14)

 

 

 

 公益通報制度と市の姿勢についてお伺いします。

新聞報道でもすでに明らかになっていますが、2020年6月、今から4年前、市役所の男性職員、当時28歳が自ら命を絶ちました。遺族が公務災害の認定を求めていましたが棄却され、現在不服申し立てをおこなっているところです。

未来を嘱望される若い職員が自ら命を絶つなど、一体何があったのかと誰もが思うところだと思います。市民のためにとの思いで入職され、一生懸命仕事をしていた極めてまじめな青年だったと聞きました。その思いを遂げられず絶望したその無念さはいかばかりであっただろうと胸が痛みます。昨年の春ごろ、自死した男性職員が平井子ども会の公金不正使用に関わって、公益通報した人らしいといううわさが流れました。現在、この職員の自死に対する公務災害認定と真相解明を求める「支える会」が結成されていますが、その会のメンバーが噂をそのまま捨てておくわけにはいかないとそれぞれの思いをもって情報開示を求めるなどをして調べはじめ、遺族を探し当てました。それまで遺族であるお母さんは家族の支えはありつつも、ほぼ一人で息子の自死の真相を知りたいと市役所にも県庁にも出かけ奮闘されていたことがわかりました。支える会のメンバーはお母さん会い、本人が書いた病気休暇願いを見て、やはり公益通報した方だと確信をもったと言います。それがこの資料です。(全文読む)

これは単なる休職願いではありません。この文章を読むだけでこの職員がどれだけ正義感にあふれ、勇気をもって仕事に臨んでいたかがよく分かります。この休暇願いは公益通報にも提出されています。前途ある職員が自らの命を絶たなければならなかった理由を明らかにしてほしい。これはお母さんをはじめ遺族の切なる願いです。市としてこの声に応える必要があると私は強く思いました。そこでお伺いします。

①市長は当該職員の病気休職願いを読んだか。どう思ったのか。

②市長は遺族に「責任を持って調査し報告する」と言ったそうだが、その後どんな行動をとったのか。その結果を市長自ら遺族に伝えたのか。

③5月15日付けの新聞報道によると、「男性の死後、遺族の要請を受け関連部署の職員ら約100人に聞き取りを行い、調査結果を遺族に報告した」となっているがその内容はどうか。

④当該職員が年度当初の人事から間もない時期に児童館へ配置換えになっているが配置換えが必要となる合理的な理由はあったのか。また、病気休暇ののち復職した際に、生活保護課へ配置されているが、平井子ども会の件で処分された職員と同じフロアになったことに対し、「配慮が欠けていた」と指摘されていることに対しどのように考えるのか。

⑤公益通報制度とはどのような制度か。不正を告発した職員を守ることが大前提となっていると思うが、それはどのように担保にされているのか。人事課は今回の件について「公益通報制度は適切に運用されてきたと考えている」との新聞報道であるが、のように考える根拠は何か。

⑥2020年2月、平井児童館をはじめとする公金の不正支出に関わって、設置するとしたコンプライアンス委員会はいつ、どんなメンバーで、何を目的に設置されたのか。また、設置してからの開催の内容はどうか。

 

再質問

 

○公益通報制度のそもそもの目的と意義を確認したい 労働者が労務提供先の内部において国民生活の安心安全を損なう法律違反やそれにつながる行為を発見した際、内部の通報窓口、報道機関、労働組合などに通報することで、被害の拡大が防止され、本来、明らかになるはずのない不正があきらかになることがある内部の不正や違法行為は問題が顕在化しないかぎり外部から発覚することは稀である。したがって内部の労働者が安心して通報できるのが公益通報制度、先日のNHKクローズアップ現在で「守られなかった公益通報制度」と題した番組があった。公益通報しても何もならないということがあってはならない。病気休職願いを教委は受け取っており、その内容は不正を告発するものであったにも関わらず市長には報告が上がってこなかった→つまり教育委員会は事の重大性を全く認識していなかったということ→または知っていて言わなかったか。

「衝撃を受けた」  ・・・・

○2019年12月議会 当時の芦原連合自治会長による公共事業への協力金、公共施設の私的占用など長年放置してきた問題 2020年2月議会 平井子ども会に関わる公金の不正使用 2回続けて質問をしたその時を振り返る

芦原対策協議会=芦対協による職員への圧力や当時の連合自治会長との長年続いてきた悪しき慣例の中で起こった公共施設の私的占用、公共事業に関わり協力金と称する詐称、パーティ券の売却への協力など不当介入や不適切な関係を断ち毅然とした態度で接するよう職員を指導する=市長答弁

平井子ども会や識字学級の事件はそこからわずか2ヶ月後

公益通報により公金の不正使用が発覚した後、改めて調査して結果、不正は10年前から指摘する声があったと、それを放置した原因は分からないと答えた。

しかも「子ども会や識字学級は長年にわたる制度のあいまいさがあり慣例的に事業が行われてきた、行政指導が不十分な中、事務手続きを拡大解釈させるに至ったことが原因」と市長は答えたが、根本的な問題・・・・

  子ども会についても、包括外部監査という第3者機関の「補助対象要件をみたす子ども会を多く作るため作為的に子ども会を設けることを可能としている」という指摘は実際に平井子ども会において起こり、子どもの数を水増ししていた。公益通報の外部調査員からの報告は「平井児童館を拠点とし8つあるとして補助金を受けている各子ども会に独立性は亡く、8つそれぞれが交付金対象団体とはならない」つまり1団体としての実態しかないのに8団体に分けて補助金を得ているということ

 私は芦原連合会会長の件も平井の子ども会も個人の資質の問題でも事務的なミスでもない、旧同和対策事業を背景に行政の屈服した姿勢が作り出した問題だと指摘した。ここにメスを入れなければ、何も変わらないのだと

公益通報時、男性職員は本来補助金の申請は子ども会がするべきなのに市役所職員が行っていることは問題である。児童館の館長は市の正規の職員であるが、何のチェック機能も果たしていないと訴えている、さらに休職願いにははっきり「行政と同和の癒着が改善されておらず市政に深く根ざす深刻な問題だ」と明確に言っている どれだけ本人が勇気を振り絞って告発したかの思いを市はまっすぐに夢受け止めなれればならなかった

さらに処分が決まった際、軽すぎると男性職員がショックを受けていた(お母さんの談)→5年間の不正取得額は1017万1278円 なぜ5年間かは遡及の原則に基づくからのことだった これ以前であっても時効で問えないというだけのこと 交付金の不正使用に関わった2人の職員の処分は停職6ヶ月、減給10分の1 1ヶ月 不正な金額は返還して終わり、私もそれで済まされる問題ではないと議場で指摘した

市長は調査の結果を人事課から報告させたと ・・・・ →市長が告別式でお母さんに言った「責任を持って調査し報告する」との言葉はお母さんにとってどれほぞ大きかったか市長は分かるのか。人事課から報告があったかもしれないが、お母さんは息子の無念を晴らしてもらえるかもしれないと万感の思いを込めて市長からの報告をまっていたはず、家族でしか知りえない息子さんの思いもあったはず なぜ お母さんに直接会い報告しなかったのか。・・・・・・

①公益通報により不正が表に出たがその処分は極めて軽い。職員の告発を正面から受け止めたのであれば刑事告発するべきではなかったのかという市民の声をどう受け止めるのか。

②遺族には調査を行った人事課から伝えたとのことであるが、その後、お母さんは秘書課にも人事課にも、市長と直接話したいと訴えたにも拘わらず、その訴えには応えなかったのはなぜか。

③生活保護課への配置の理由として挙げた、産業医の意見と本人の適正とは何か。復帰の前に本人の意向は聞いたのか。

④6月7日の記者会見において和歌山市公正職務審査会に諮問すると判断した理由は何か。この審査会はそもそもどんなことを対象として扱い明らかにしようとするものなのか。

今回の諮問の内容は何か。遺族はなぜ、自死しなければならなかったのかの真相解明をもとめていると思われるが、それは達成できるのか。

 

再々質問

 

○年度途中の人事異動と異動先の合理性、復帰後の配置先で処分された職員と同じフロアになったことへの配慮のあり方、そして公益通報の運用のあり方についてはそれぞれ、適切であったかどうかは今後、公正職務審査会にて調査されるとのこと 自死につながる部分に及ぶ可能性があるということなので真相解明されることを期待する

○森友学園の赤木さんの事件と同じ、不正を告発した人がなぜ死ななければならなかったのか。

○男性職員が自死された当時、市からの報告は遺族がそっとしてほしいとのことだったが、後にお母さんから市長に何度も会わせてほしいと願っていたことを知った→そっとしておいてほしかったのは市ではないのか。

○刑事告発しなかったのは交付金を全額返したから →返せばいいのか 公金であること知っていて水増ししていること、処分の対象となるのは5年間しか遡れないが実際はもっと前からやっていたと考えられること  結局は、関係の職員を処分して終わり これは隠蔽に等しい。

○市長が直接会わなかったのは担当課が止め、市長に言わなかったというのが分かった 申し訳ないと思うなら、今からでもお母さんの声を聞くべき

○亡くなる直前お母さんに、もう市は何を言っても変わらない。県庁の試験を受けて市を正したいと言っていたのを聞いた → 勇気をもって公益通報した彼が今も生きていてくれていたなら、不正を見て見ぬふりをさせないという気風が作られていったのではないかと思えてならない この彼の思いを無駄にしてはいけない

○職員のみなさん、OB・OG、会計年度任用職員のみなさんに呼びかけたい 公益通報制度は誰もが使える制度 どうか 知っていることを勇気をもって教えてほしい

    

一般質問の答弁      (太字は答弁)

 

公益通報制度と市の姿勢について

① 長は当該職員の病気休職願いを読んだか。どう思ったのか。

 

 

答弁者    市長 尾花正啓         担当部局 総務局総務部 人事課

 病気休職願いについては、当該職員から、平成30年6月に教育委員会に提出されましたが、私が報告を受けたのは、平成30年11月に、公益通報の外部相談員から調査結果報告があった時です。

  それを確認したところ、不正を指摘する内容が書かれており、大変な問題が起きていること、また、病気休職願を教育委員会が受け付けてから、すぐに報告が上がってきていなかったことにも衝撃を受けました。

  若い一職員が、勇気を出して不正を指摘し、そして、その事で思い悩み、休職してしまったことは非常に心苦しく、またその思いを救えず、公益通報をせざるを得なかったことは、非常に残念でならないと今も感じています。

 

公益通報制度と市の姿勢について

②遺族に「責任を持って調査し報告する」と言ったそうだが、その後どんな行動をとったのか。その結果を市長自ら遺族に伝えたのか。

 

答弁者    市長 尾花正啓         担当部局 総務局総務部 人事課

ご遺族にとって大事なご家族をなくしたこと、また我々にとっても大事な仲間を亡くしたことでもあるので、人事課に対して亡くなった職員の所属等への聞き取り調査を指示し、自死に繋がるようなことがなかったかを確認させました。

  その結果については、内容の詳細を把握している人事課から、こ家族に報告させました。

 

公益通報制度と市の姿勢について

③5月15日付けの新聞報道によると、「男性の死後、遺族の要請を受け関連部署の職員ら約100人に聞き取りを行い、調査結果を遺族に報告した」となっているがその内容はどうか。

 

答弁者    総務局長 中村智裕         担当部局 総務局総務部 人事課

 

 本調査は、令和2年6月当時、生活支援第1課及び生活支援第2課に在籍していた職員計121名を対象に、公正職務専門監が中心となり令和3年5月から6月にかけて聴き取りを実施しました。

 その内容は、①当該職員に対する叱責行為や特定の職員からの嫌がらせについて、②お亡くなりになる前日までの数日の職場での様子について、③当該職員が起こした公用車の事故について、④業務上の負荷や業務に対する不安について、などの項目について聴き取り結果をまとめたものです。

 

公益通報制度と市の姿勢について

④当該職員が年度当初の人事から間もない時期に児童館へ配置換えになっているが配置換えが必要となる合理的な理由はあったのか。また、病気休暇ののち復職した際に、生活保護課へ配置されてこと、令和2年4月に処分された職員と同じフロアになったこと、そのことにたいし配慮が欠けていたと指摘されていることに対しどのように考えるのか。

 

答弁者    総務局長 中村智裕         担当部局 総務局総務部 人事課

 

 当該職員が児童館へ配置換えになった平成30年5月28日付け人事異動については、年度途中における南サービスセンターと南コミニティセンターの開設、平井児童館職員の欠員に対応するために実施した計8人の異動であり、合理的な理由があると考えています。 平成30年10月に当該職員が病気休職から復帰する際、生活保護課への配置となったことについては、産業医の意見、本人の適性等を踏まえたもので、配慮に欠けたものではなかったと考えています。

  また、令和2年4月の定期人事異動において、当該職員と処分された職員が同じフロアになったことについては、当該職員は本人の希望等が考慮され留任となり、処分された職員が同じフロアではあるが別の課に配属となったもので、公益通報者の秘密が守られていることもあり、不適切な人事配置ではなかったと考えています。

 

公益通報制度と市の姿勢について

⑤公益通報制度とはどのような制度か。不正を告発した職員を守ることが大前提となっていると思うが、それはどのように担保にされているのか。人事課は今回の件について「公益通報制度は適切に運用されてきたと考えている」との新聞報道であるが、のように考える根拠は何か。

 

答弁者    総務局長 中村智裕         担当部局 総務局総務部 人事課

 

 本市では、職員からの公益通報制度として、「和歌山市内部公益通報に関する要綱」に基づき、外部相談員である弁護士が、法令に違反する行為に関する事実等にかかる相談を受け付けています。外部相談員は、通報に関する秘密を厳守して調査等を行うことになっています。

  また、公益通報保護法第5条において、通報者に対し、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取り扱いをしてはならないと規定されており、今回の件について、当該規定に該当する取り扱いはなかったと考えています。

 

公益通報制度と市の姿勢について

⑥2020年2月、平井児童館をはじめとする公金の不正支出に関わって、設置するとしたコンプライアンス委員会はいつ、どんなメンバーで、何を目的に設置されたのか。また、設置してからの開催の内容はどうか。

 

答弁者    総務局長 中村智裕         担当部局 総務局総務部 人事課

 平井児童館等における公金の不適切な支出における改善策して挙げていたコンプライアンス委員会については、令和3年4月、和歌山市公正職務審査委員会として設置しました。当審査会は、公正な職務の執行の確保のため、本市における職員の職務に係る法令、倫理原則及び服務規律の遵守の推進に関し必要な事項について、任命権者の諮問に応じ、客観的かつ専門的な視点から、調査審議し、意見を述べる機関で、学識経験者そのた法令等に関し専門的知識を有する委員3人で構成されています。

  審査会が設置された令和3年度以降、該当する案件がなかったため、開催しておりません。

 

再質問の答弁

公益通報制度と市の姿勢について

①公益通報により不正が表に出たがその処分は極めて軽い。職員の告発を正面から受け止めたのであれば刑事告発するべきではなかったのかという市民の声をどう受け止めるのか。

 

答弁者  教育局長 奥山由佳  担当部局 教育委員会教育学習部  教育政策課・青少年課

 

 公益通報により、子ども会の指導者である職員が、地域子ども会活動支援交付金を不適正に使用したということで、令和2年2月18日付けで関係した職員が処分されております。刑事告発するかどうかの検討がなされましたが、処分した職員が返還対象となる交付金を全額返還していることから、刑事告発をしないという判断がなされたものです。

 

公益通報制度と市の姿勢について

②遺族には調査を行った人事課から伝えたとのことであるが、その後、お母さんは秘書課にも人事課にも、市長と直接話したいと訴えたにも拘わらず、その訴えには応えなかったのはなぜか。

 

答弁者    市長 尾花正啓         担当部局 総務局総務部 人事課

 

  ご遺族が面談を希望されていたことについては、先日からの報道を受け、担当部局からの報告で、初めて知りました。

 これまで、人事課及び秘書課がご遺族のお話を伺い、調査等の進捗状況をお伝えするなど、担当部局において対応すべきであると判断したと聞いています。

  その当時、ご遺族が面談を希望されていることを知っていればと非常に残念に思うとともに、ご遺族には、大変申し訳なく思っています。

 

公益通報制度と市の姿勢について

③生活保護課への配置の理由として挙げた、産業医の意見と本人の適正とは何か。復帰の前に本人の意向は聞いたのか。

 

答弁者    総務局長 中村智裕         担当部局 総務局総務部 教育委員会事務局                         教育学習部 人事課 教育政策課

 産業医の意見としては、通常、時間外勤務の制限等の就労制限、業務上の配慮、本人の体調面談等について意見が出されますが、当該職員について特に注意すべき内容は見受けられませんでした。

 生活保護課は当該職員が過去に経験がある市民対応が主な部署であり、また、課内で同様の業務を行う職員が多くいるため、周りからのサポートを得やすい環境であることなどを考慮しました。

 また、復職の前には面談を実施し、すぐにでも職場復帰したい意向を聞いていました。

 

公益通報制度と市の姿勢について

④6月7日の記者会見において和歌山市公正職務審査会に諮問すると判断した理由は何か。この審査会はそもそもどんなことを対象として扱い明らかにしようとするものなのか。

今回の諮問の内容は何か。遺族はなぜ、自死しなければならなかったのかの真相解明をもとめていると思われるが、それは達成できるのか。

 

答弁者    総務局長 中村智裕         担当部局 総務局総務部 人事課

 

 本市において、これまで、関係職員から聴き取り調査を行い、その結果をご遺族に提供するなど、真摯に対応してきました。また、公務災害認定請求については、地方公務員災害補償基金による客観的な調査が行われた結果、公務外の災害であると認定されました。

 この度、公益通報者が守られていなかったなどとご遺族が訴えていることについて、本市としても、市及び基金の調査だけでなく、さらに第三者から意見を聞くべきと判断し、公正職務審査会に諮問することとしました。

 当審査会は、公益通報制度など、本市の公正な職務の執行の確保に必要な事項について、調査審議し、意見を述べる機関です。

  今回の審査会では、当該職員に対する人事配置等への不利益な取り扱いの有無について、諮問する予定となっています。調査審議する中では、自死につながる部分にも及ぶ可能性があると考えています。